2012年06月23日

ムー大陸とアトランティス大陸の謎

物事は「そもそも思考」で順序立てて検証する必要がある。
「ムー大陸」についてもそうだが、
では、まず誰がムー大陸の話をし始めたのか。
それを知らずして、ムー大陸の話をするのは荒唐無稽である。

『失われたムー大陸の謎とノアの箱舟』
に詳しく載っているので、それを基に書いていく。

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1926年にアメリカで、ジェームズ・チャーチワードという人物が、
『ザ・ロストコンチネト・オブ・ムー』という本を出版した。
日本語訳で『失われたムー大陸』だが、
1926年は昭和元年……つまり、近代である。

その奇書によると、今から1万2000年以上前、
太平洋に巨大な「ムー」と呼ばれる大陸が存在したという。
ハワイ諸島からイースター島、ポンペイ島、トンガ島、クック諸島、
マリアナ群島などをカバーし、ポリネシアからミクロネシア、
メラネシアまで含む広大な大陸だったという。

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このムー大陸は人類発祥の地で、世界文明発祥の地でもあり、
ムー人は絶対神「ナラヤナ」を崇拝し、
「ラ・ムー」という帝王兼神官が支配していた。
ラ・ムーは聖なる兄弟「ナーカル」を世界中に派遣し、
エジプトやインカ、インド、チベットなどに古代文明を築き上げた。

ムー大陸は運河によって大きく3つに分かれ、7つの都市があり、
首都「ヒラニプラ」の王宮には、金銀や象牙が散りばめられていた。
人口は最盛期で6400万人を数え、人々は何不自由なく優雅に生活し、
舟遊びや劇場見物などをして暮らしていた。

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ムー大陸に人類が誕生して500万年……
彼らは高度な文明を築いたが、大規模な地殻変動が起こり、
巨大地震と火山の噴火によって一夜にして海底に水没し、
わずかに残った山の頂きが、今の太平洋に浮かぶ島々だという。

聖なる兄弟「ナーカル」が世界中に派遣され、
エジプトやインカ、インドに古代文明を築き上げたとすると、
エジプトはともかく、インカやインドの古代文明は
1万2000年以上前に発祥したということになる。

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また、ムー大陸に人類が誕生して500万年もの間、
大規模な地殻変動もなく、高度文明を築いてきたという話は信じ難い。
しかも、巨大大陸が一夜にして水没したというのも非常に考えにくい。
つまり、『失われたムー大陸』は想像の産物だと思って良い。

重要なことは、この本が存在しなければ、
「ムー大陸伝説」も存在していないということである。
まず、それが前提だが、その話の元になるものが存在するという。

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チャーチワードがムー伝説と出会ったのは1868年で、
インドのヒンドゥー教寺院で高僧リシと親しくなったという。
高僧は古代文字を研究するチャーチワードを見込んで、
寺院の地下に存在する数十枚の粘土板をチャーチワードに見せた。

そこには見たことのない絵文字が刻まれていた。
チャーチワードは2年の歳月をかけて粘土板「ナーカル碑文」
の解読に取り組み、ムー大陸の宗教書であることが判明した。

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チャーチワードはムー大陸の痕跡を探す為、世界中を旅し、
メキシコで鉱物学者のウィリアムス・ニーベンと出会った。
ニーベンはマヤ文明の遺跡を調査し、
2500枚に及ぶ石板「トロアノ古写本」を発見。

チャーチワードは、それをムー大陸のもう1つの証拠とした。
「トロアノ古写本」はそれ以前から研究されていて、
1864年にフランスの考古学者ル・プロンジョンが解読した際、
どうしても分からない2文字があった。

デ・ランダで発見された碑文のアルファベットに似ていることから、
その2文字を「M」と「U」と解釈し、
それを繋げて失われた大陸を「MU」と呼ぶことにした。
そのMU(ムー)という呼び名を受け継いで、
『失われたムー大陸』を出版したのがチャーチワードなのだ。

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まず、「ナーカル碑文」はムー大陸における宗教書であり、
当然ながらそこには「1万2000年前に太平洋の大陸が沈んだ」
などとは書かれていないはずだ。

太古の昔、東の海の向こうにあった大陸が消えてしまった……
というのは、チャーチワードが高僧リシから聞いた話である。
つまり、太平洋に沈んだ大陸の伝説は、
リシがいたヒンドゥー教寺院に伝わる伝説が元になっているのだ。

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1万2000年前というのは、チャーチワードが
「アトランティス伝説」と比定して作った話であろう。
だが、現在の地球科学の立場から、ムー大陸の存在は否定されている。
島が海中に沈むことと大陸が沈没することは本質的に全く違う現象で、
太平洋の島々と大陸では地質(地殻の種類)が全く違うという。

地球の表面は基本的に、ケイ素とマグネシウムを含む
玄武岩質で形成される地殻で覆われており、
一般に「シマ」と呼ばれる地殻は、
全ての海底で見られる「海洋性地殻」だという。

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この地球全体を覆っている海洋性地殻の上に乗っているのが、
ケイ素とアルミニウムを含む花崗岩質の地殻で、「シアル」と呼ばれ、
地球上の大陸は全てシアルから成る「大陸性地殻」だという。
もし、太平洋の海底に大陸性地殻シアルが存在すれば、
大陸が存在した証拠となるが、
どれだけ調査しても太平洋の海底からシアルは発見されていない。

高い山の頂きだったという島々の地質も全てシマで、
見事なまでに海洋性地殻だという。
太平洋に大陸性地殻が存在しない以上、
ムー大陸は架空の話だったことになる。

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では、ジェームズ・チャーチワードとは何者なのか……。
著書によると、イギリスの陸軍大佐で、
1868年にインドに派遣されて駐屯していたことになっているが、
イギリスの公式記録を保存している機関に問い合わせても、
該当する人物は出てこないという。

アメリカでの活動は記録に残っており、ニューヨーク郊外に
墓も存在することから実在の人物であることは確かだが、
経歴を偽っていることも確かである。

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チャーチワードは著書の中で、
ムー大陸とアトランティス大陸は相互交流を行っていたという。
また、チャーチワードが説明するムー大陸は、
3つの運河で分断されているなど、アトランティスと酷似している。
更に、都や文明の記述もアトランティス伝説と一致しており、
アトランティス伝説を真似て書いた本だと考えられる。

まず、チャーチワードは肝心の
「ナーカル碑文」の写真を1枚も公開していない。
「ナーカル碑文」を解読していないというよりも、目にしていない。
インドに駐屯した大佐で、
ジェームズ・チャーチワードなる人物は存在しないからだ。
当然ながら、高僧リシから聞いたという話そのものも、
嘘だったことになる。

チャーチワードがムー大陸実在の根拠とした『トロアノ古写本』は、
その後の研究で、純粋な天文学書であることが判明し、
謎の2文字の読み方が「M」「U」でもないことも分かった。
従って、「ナーカル碑文」はチャーチワードのデッチ上げで、
『失われたムー大陸』はフィクションだったということになる。
そもそも、太平洋に大陸性地殻は存在しないのだ。

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だが、「ナーカル碑文」は実在するという。
2002年5月、アメリカ軍と某大学の調査隊が、
インドのラジャスタン州の寂れたヒンドゥー教寺院を訪れ、
地下に保管されている34枚の粘土板を発見したという。
インド政府は、民間に混じって入国するアメリカ兵に目を瞑り、
「ナーカル碑文」の持ち出しも黙認しているそうだ。

そして、20世紀初頭に、このヒンドゥー教寺院で撮影された
古びた写真も保管されていて、その内の1枚が公開されている。
僧侶が持っている粘土板が「ナーカル碑文」である。

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この写真を撮影したのはチャーチワードではなく、
インド政府でもアメリカ軍でもなく、旧日本軍だったそうだ。
日露戦争直後の日本はイギリスと同盟関係にあり、
旧日本軍はイギリスの支配下にあったインドにも訪れ、
ヒンドゥー教寺院の地下から粘土板を発見し、調査を行っていた。

だが、今のところ「ナーカル碑文」の内容は解読されておらず、
どのようなことが書かれているのかは判っていない。
しかし、「ナーカル碑文」が実在したとなると、
チャーチワードの謎が深まる。

飛鳥氏によると、旧日本軍はアトランティス大陸に対抗し、
太平洋に沈んだムー大陸伝説を創作し、エージェントを抜擢した。
それがチャーチワードで、もっとらしい経歴を作り上げ、
旧日本軍が収集した情報とアイデアを吹き込み、
『失われたムー大陸』を出版させ、ここにムー大陸伝説が生まれた……。

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アトランティス大陸と共に栄華を誇っていたが、
1万2000年前にアトランティス大陸と時を同じくして海底に没した……
というストーリーは、「アトランティス伝説」と対比した作り話である。
アトランティス大陸が1万2000年前に沈んだという話は事実ではない。

アトランティスは、古代ギリシアの哲学者プラトンが、
著書『ティマイオス』と『クリティアス』の中で記した伝説の大陸である。
プラトンは自著を「全面的に真実の話である」とし、伝説の元ネタは
「ギリシアの賢人ソロンがエジプトの神官から聞いた話」だとしている。

まず、アトランティスが沈んだのは、ソロンの時代(紀元前600年頃)
から9000年前の出来事だったとされている。
つまり、今から約1万1600年程前に沈没したということになるが、
アトランティス軍はギリシア軍と戦っていたという。
当然ながら、1万1600年前にギリシアは存在していない。

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近年の調査では、アトランティスの場所を示す「ヘラクレスの柱」が、
ギリシアのミュケナイを指していた事が判明している。
そして、紀元前1500年頃ミュケナイ沖のサントリーニ島が、
火山の大噴火によって一夜にして海底に没したという事実がある。
それは「古代ギリシア」が存在した時代とも一致する。

だが、1万1600年前とは年代が全く異なる。
それについては、ソロンかプラトンが数字を間違って、
1桁多く記録されたのではないかという説がある。

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ソロンの時代から9000年前ではなく「900」年前だとしたら、
サントリーニ島の火山が爆発した紀元前1500年前と一致する。
アトランティスの面積にしても、10分の1の大きさにすれば、
クレタ島の中央部にある平野とほぼ同じになるという。

プラトンはリビアとアジアを合わせた大きさだと書いているが、
当時のギリシア人の言うアジアは、アナトリア半島の事で、
アトランティスは大陸というより大きな島サイズということになる。

尚、大陸が沈没したり隆起したりするという陸橋説は過去のもので、
大陸は上下に動くものではなく、水平に移動するものだとされている。
もちろん、部分的な水没や浮上はあるが、大陸そのものが海底に沈没したり、
海底に沈没した大陸が浮上したりということはないそうだ。
従って、アトランティスは大陸ではなく、島だったということになり、
それはサントリーニ島以外には考えにくい。

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だが、最近の研究では、サントリーニ島説は苦しくなっているという。
年輪年代法によってサントリーニ島の爆発年代が明らかになり、
推定されていた年代よりも古い紀元前1628年だったという。

それに対し、クレタ島の多くの宮殿が崩壊するのは紀元前1450年頃で、
200年近いズレが生じ、サントリーニ火山の爆発でクレタ文明が崩壊した、
という従来の仮説が成り立たなくなってしまったという。
だが、年輪年代法も640年頃を境に100年の誤差が生じているらしく、
「アトランティス」がサントリーニ島であった事はほぼ間違いない。

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ムー大陸伝説を作った黒幕は旧日本軍だったということだが、
何故そのような伝説を創る必要があったのか。
アトランティスは西洋人の原郷で、
全世界に植民地を広げようとする西欧列強は、
超古代はアトランティスが支配していたという幻想を生み出し、
それが異民族支配の正当化に繋がっていたという。

旧日本軍もアジア進出において、
その裏付けとなる神秘思想が必要となり、
太平洋に沈んだムー大陸という原郷を作り出した。

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旧日本軍にはキリスト教徒が多かったそうだが、
ムー大陸の絶対神ナラヤナを、
7つ頭の蛇(ルシファー)の姿で描いたことも興味深い。
「ナーカル碑文」に描かれていたのかどうかは不明である。

そして、チャーチワードの著作が世に出ると、
王仁三郎も積極的にムー大陸論を展開し、
ムーの首都だったというポンペイ島に、
大本の聖地を築く計画を立てていたという。

王仁三郎はムー大陸を信じていたのだろうか……
或いは、架空の存在であることを知った上で、
ムー大陸論を展開していたのだろうか……。
いずれにせよ、太平洋に大陸が沈んでいない以上、
浮上するということも有り得ないのだが、
ムー大陸の話は奥が深いので改めて続きを書きたい。
posted by ZERO at 23:06| Comment(3) | 謎学・ミステリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
まじ
Posted by うみうし at 2013年06月12日 18:40
というか色んな説あるよね
実際にその時代に戻りでもしなきゃ確たる証拠なんて解りゃしないよ
まぁでも中には地球の歴史を霊視みたいな方法で伝えてる人もいるらしいけど
いったいどの説が本当なのやら実感でき納得でき信じれる情報は何処にあるのやらww
こういうのはロマンあって好きだけど自分にとっては娯楽の一つに過ぎないかな…
Posted by アトランティスとムー大陸の壮絶な戦争の成れの果てが砂漠地帯って本当なのかな? at 2013年11月05日 01:57
アトランティスとムー大陸の壮絶な戦争の成れの果てが砂漠地帯って本当なのかな?
さん、こんにちは。

そうですね^^
Posted by 獣 at 2014年05月29日 16:25
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